2015年8月6日木曜日

虐殺器官  読みました!!

タイトル : 虐殺器官
賞種   : ―
出版   : ハヤカワ文庫JA
著者   : 伊藤 計劃
イラスト : ―


今日のインプレダクションは一般文芸のコレ!
SF作品です!


その決断、自分の背に

暗殺任務で男を追うが
何度もすり抜けられてしまい――
思索の海を泳ぐSF
これは凄い!
『虐殺』を引き起こす犯人を追う
という特殊部隊任務としての
読み口や各種近未来設定だけでなく、
出会った人々との会話を通し
心理や種としての人間というところまで
迫っていく螺旋の思索が見どころ
『新しい』を用いて『旧い』を
掘り起こす、
という原理的コントラストを感じさせるも
根本的には異なるように見えます
根源に迫るために表層の積み上げを
圧迫していったのが『新しい』であり
書き始めがどうだったかは
分からないものの書き終わりには
その手段になっていたと思われます
終わり方には思わず震えました!


今日の甘口!

・流れ
  米国の特殊部隊は
  暗殺任務を請け負っていた
  そのために訓練された人員で
  東欧の紛争地域に向かい、
  目標人物のところへ向かう
  1人は見つけて始末したが
  もう1人の目標はその場に現れなかった
  それから現れなかった男ジョン・ポールを
  追うことになる
  ジョンが行った国々では次々に
  虐殺が発生し混乱状態になるが、
  なぜそうなるのか・・・という流れ
・テイスト
  まあまず最初にSFですから
  色々な近未来武装が出てきます
  しかもそれらの生産や経済まで
  細かく考えられていて
  ちゃんと世界に息づいているのです
  思索については意外に
  野暮ったくないと思います
  配置の仕方が絶妙なのでしょう
  あくまで極上のエンタメとして
  楽しむことができますよ!
・キャラ
  【シェパード】
  青年
  ことばに非常に惹かれるが、
  国などの集団性を示すものもことばに見えて
  境界が感じられない
  【ウィリアムズ】
  同僚男性
  ムードメーカー
  【ジョン・ポール】
  シェパードたちが追っているターゲット
  しかし何度も逃げられてしまう
・注意事項
  作家の人は
  たぶん読まない方が良いです
  まさに天才という感じなので
  『こんなの書かれちゃったら私もうやってられない!』
  と自信を喪失すると思いますw
  逆に、そうしたプライドを切り離せるなら
  ぜひ読んだ方が良いでしょう
  短い言葉で言い表すのはとても難しいのですが
  思索で陥りやすい穴を
  見事に回避しもっと深みへ
  潜行していっているのです
・気に入った言葉
  歴史とは、さまざまな言説がその伝播を競い合う闘技場である
  ・・・これを見た瞬間、
  コレだ! と思いましたね
  まさに今を表している言葉だと
  今、いろんな人達が『歴史はこうだ』と言って
  主張が乱立しています
  その伝播が強いものが
  その時代の歴史の認識になるんですよね


今日の辛口!

・特になし!
  突っ込みたいところは
  特にありませんでした!
  いや~凄い衝撃でした


以上、
追っているのは何なのか、な?!
SF作品でした!


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