2014年6月19日木曜日

五感を研ぎ澄ませて  9個星です!!

タイトル : 五感を研ぎ澄ませて
賞種   : ―
出版   : メディアワークス文庫
著者   : 永田 ガラ
イラスト : ―


今日のインプレダクションはコレ!
不思議ドラマ作品です!


評価は
★★★★★★★★★☆
9個星です!!


肩の力を抜いて

自分でも分からず使っていたチェロが実は、とか
フランス人の彼の臭いに惹かれて、とか
の様々な登場人物が織り成すストーリーは――
短編が連なって一本のストーリーになる
ちょっと不思議なドラマ
凄い
黒い部分を抜かず赤裸々に
人間臭さを描写しているので
人を選ぶテイスト
しかし筆力が高く、
個人的には好きでもなく共感
できるわけでもないエピソードが
多かったのに思わず読み入ってしまった
何かを与えるのでなく、
読み手が自由に何かを見つける所が
一般文芸的
読むときの気分、場所、時間によっても
感じ方が千変万化しそうな不思議な作品


今日の甘口!

・流れ
  チェロを習う大学院生で『聴覚』
  獣臭を持つ外人に魅せられた女性で『嗅覚』
  など五感をテーマにした
  短編の連なりで、
  しかし各話の登場人物が
  関係していて、
  一本のストーリーにもなっている、というもの
・テイスト
  テイストは一般文芸だと思われます
  ファンタジックな部分もあるにはありますが、
  日常系のドラマです
  ただ、人を選ぶテイストだと思います
  日常と言ってもほっこり系ではありません
  普通の人を、黒い部分を抜かず
  ありのままの普通の人として描いています
  そうしたありのままの人間、
  キャラではなく登場人物、と言った方が良いでしょう
  赤裸々な人間臭さがOKという人にオススメ
  雰囲気ある綺麗な表紙、
  でも始まったらドス黒い、なんだこれw
  って私はなりましたw
  でも我慢して読み続けるとどんどん引き込まれていく
  という感じです
・キャラ
  《聴覚》のメイン【田村】は大学院生の男
  人と合わせるのは上手いけど
  常に腹の中では侮蔑などの黒いものを抱えている
  判断基準も単純で利用価値があるかどうか
  《嗅覚》メイン【マユミ】はフランスへ留学した美大女子
  割と思いつきで行動し、後になって
  これで良かったのか考え込むタイプ
  《味覚》メイン【クロード】はフランス人
  上昇志向で野心家
  でも野心に任せて突っ走った後に振り返る事も
  《触覚》メイン【一花】は田村と同じ音楽教室に通った女性
  人と合わせるのは上手いけど
  冷めた部分が拭えない、強迫観念に囚われて
  人の輪に入っていっている
  《視覚》メイン【恭一】はエリートサラリーマン
  しかし優れているために上司から妬まれたりする
  流されて生きているという一面も
・筆力
  読ませる力のある文章
  普通の人の抱える弱い気持ちとかを
  表すのが非常に上手い
  だから個人的には好きでもなく共感もできないのに
  読み入ってしまった
  とてもライトノベルという感じでなく、
  一般文芸なのではないかと思う
  登場人物を作ったら、
  それを自分にとりつかせて描いている
  かのような生きた文章だった
  本作はこうした抉るような文章ですが、
  最後まで読み進めれば何か
  良いものが見付かるかもしれません
  私は肩の力を抜いて生きれば~~という部分が
  良いなと思いました
  前向きになれる言葉だなと


今日の辛口!

・構成
  最初のエピソードが腹黒男
  (と言っても現代ではこれぐらい黒くても普通の範囲なんでしょうけど)
  でなければ印象がもっと違ったものになったかも
  こうした嫌な奴は中盤より後に登場させる
  構成にした方が物語りに入っていきやすい気がします


以上、
読ませる力のある文章、な?!
不思議ドラマ作品でした!


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