2020年9月3日木曜日

マッド・バレット・アンダーグラウンド  10個星です!!

 タイトル : マッド・バレット・アンダーグラウンド

賞種   : 第25回電撃小説大賞・選考委員奨励賞

出版   : 電撃文庫

著者   : 野宮 有

イラスト : マシマ サキ



今日のインプレダクションはコレ!

ファンタジークライム作品です!



評価は

★★★★★★★★★★

10個星です!!



どこまで落ちるか


無法地帯の街で裏の仕事をこなす2人に

胡散臭い仕事が舞い込んできて――

スラム街より荒れたクライム劇。

凄く良かったです。

頭から尻尾まで、

そしてあとがきに至るまでひたむきに

ライトノベルを書き通したその執筆姿勢に

大きな熱量を感じました。

荒れ過ぎた街に染まった仕事をこなしながら、

それでも心は染まりきらず境界線で揺れ動く微妙な感覚を

よく表せていたのではないでしょうか。



今日の甘口!


・流れ

  法治国家にありながら一か所だけ

  無法地帯の街があった。

  警察すらお飾りになっているその街で

  男女2人組が裏の仕事をしていた。

  ある時その2人組に有力マフィアグループからの

  依頼が舞い込んでくる。

  組織の脱走者を連れ戻すという簡単な仕事。

  それで大金が手に入るはずだったが・・・という流れ

・テイスト

  クライムアクションの感覚ですが、

  ルパン三世ほどノリが軽いものではありません。

  荒れた感じを前面に押し出しつつ

  かといってシリアス過ぎないという路線です。

  アニメ『BLACK LAGOON』という作品が近いですが

  知らない人が多いかもしれません。

・キャラ

  【ラルフ】

  主人公男性。

  心を完全に捨てきれず微妙。

  亜空間に物を収納したり取り出したりできる

  四次元ポケット的な能力が使える。

  【リザ】

  ラルフの相棒女性。

  こちらは喜々として仕事をこなす。

  音を操る能力が使える。

・悲劇

  作中に登場する女の子が

  両親を惨殺された過去を持ちながら、

  ”この街では悲劇がありふれていて

  自分だけが悲劇のヒロインになれないのが嫌だ”

  と零すシーンがあります。


  わたし的にはこれが1番響きましたね~。

  我々の生活でも色んな不幸があります。

  でも沢山の人が不幸な目に遭っていたり、

  自分よりも悲惨な目に遭っている人がいる・・・

  そうすると、自分の不幸は大事にされなかったりします。


  他にも不幸はいっぱいある、それは分かるんだけど、

  でも自分の不幸も見てほしい、酌んでほしいみたいな思いは

  多くの人が抱えているのではないでしょうか。



今日の辛口!


・全体

  心の動きが学生に刺さる気がして

  これぞライトノベルと思いました。

  設定面がやや弱いかもしれず、

  こうした街が出来上がるにはどういった経緯が必要か、

  そこら辺は深掘りしても良かったかもしれませんね。



以上、

悲劇の集まる場所、な?!

ファンタジークライム作品でした!


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