2020年4月18日土曜日

オーバーライト ――ブリストルのゴースト  10個星です!!

タイトル : オーバーライト ――ブリストルのゴースト
賞種   : 第26回電撃小説大賞・選考委員奨励賞
出版   : 電撃文庫
著者   : 池田 明季哉
イラスト : みれあ


今日のインプレダクションはコレ!
青春ドラマ作品です!


評価は
★★★★★★★★★★
10個星です!!


何のために

ブリストルで出会ったグラフィティ。
それは街に息づく文化でもあるが――
ストリートアートの青春ドラマ。
かなり満足できました!
バンクシーの出身地を舞台にグラフィティを核に展開する、
それだけで既にアツイですが、
バンクシーに頼り過ぎない作風も粋ですね。
グラフィティが街と共にある、
根付いている情景がリアルに伝わってきました。
文化の概念を削り出した彫刻と言えます、
読んで良かったです。


今日の甘口!

・流れ
  留学生男子はバイト先で落書きを見付ける。
  それはグラフィティと呼ばれ、
  街では盛んに行われていた。
  バイト先に書かれたものは消さないわけにもいかず、
  書いた犯人を捜しに出かけるが・・・という流れ。
・テイスト
  1度道具を置いた者が
  色んな経験をして再び道具を手にするまでを
  追っていきます。
・キャラ
  【ヨシ】
  留学生男子。
  誰かについていくタイプ。
  【ブーディシア】
  ヒロイン。
  口は悪く面倒くさがり。
  動き出すと行動力がある。
  【ジョージ】
  役人の男性。
  ふらりと現れてはヨシやブーディシアに声をかける。
・厚み
  文章から浮き出てくる街並みに厚みを感じました。
  書き手が作中の世界をリアルに想像できていることが1つ目のポイントで、
  もう1つのポイントはバンクシーの出身地というキーワードの
  連想させる力だと思います。

  例えば大阪と書けば大阪のおばちゃん・お笑い芸人・たこ焼き・・・
  漁港と書けば漁師・船・海鮮丼・・・
  みたいに1つのキーワードが複数のイメージを内包していることがあります。
  これは効果的ですね。


今日の辛口!

・全体
  物語はやっぱり情熱が核であり、
  そこがとても満足できました。
  読み終わってバンクシーの作品や
  ブリストルの街並みを検索した人も多いんじゃないかな。

  前半ロースタート、
  そして後半一気に引き込むという
  この瑞々しさがまさに新人賞だなあという感じです。

  選評を見てみると技術的なところをメタメタに言われているので
  まあそこはしょうがないですね(^▽^;)
  わたしも前半が技術的なところを気にしてしまう余地があったので、
  それが気にならなくなるほどスッと入り込めるようになると
  もっと良くなるんじゃないかと思いました。
  一般文芸には前半の小さな波の作り方上手い作品がいっぱいあるので
  そこから技術を盗めるかもしれません。


以上、
行ってみたい街並み、な?!
青春ドラマ作品でした!

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