2025年11月12日水曜日

このクリニックはつぶれます!─医療コンサル高柴一香の診断─  読みました!!

タイトル : このクリニックはつぶれます!─医療コンサル高柴一香の診断─

賞種   : -

出版   : 新潮文庫nex

著者   : 午鳥志季

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

ホームドラマ小説です!


医者と経営者


祖父から受け継いだクリニックは赤字続き。

藁にも縋る思いでコンサルに助けを求めたらーー



敏腕だけど癖の強い仕事仲間と出会う、
みたいなお仕事モノとして始まるけどホームドラマと表した方が良いかな。
仕掛けが分かり易く、
ちょっと良い話にして区切りを付けるように読後の爽やかさも意識されている。
医療コンサルとしてやってきた女性・一香は主人公・慎に対し患者は金儲けの道具でしかないと言う等して道徳vs金の揺さぶりをかける、
これはよくある道化役の設定。
その他、どうも役割から設定を考えていくパズル型の組み方をしているように見受けられるが、
それらを纏めようとしてちょっと苦しくなってしまったのかなという感触。

2025年11月1日土曜日

リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動―  読みました!!

タイトル : リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動―

賞種   : 第25回電撃小説大賞・銀賞

出版   : 電撃文庫

著者   : ミサキナギ

イラスト : れい亜



今日のインプレダクションはコレ!

ファンタジー小説です!


こころ


戦闘用として生み出された少年型絡繰り人形は

戦闘の無い時代を過ごすことになり――



絡繰り人形を中心にしたファンタジー。
なかなか良かった。
戦闘用なのに戦闘が無いので日常生活を、
という王道から外した道を行く系統の組み立て方。
マスターの命令が絶対のマシンだけど様々な事に思い悩んだり、
経験を積んで成長していく姿を描いたのが秀逸。
粗い部分はあれどその分瑞々しさが感じられた。
正統派のライトノベルであり、
本作を受賞作に選んだ審査員に称賛を贈りたい。
そこはやはり電撃といったところ。
レーベル側は「初めてライトノベルを読む人」に向けた作品を刊行し続ける義務がある。

2025年10月23日木曜日

なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ  読みました!!

タイトル : なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ

賞種   : 第37回ファンタジア大賞 大賞

出版   : 富士見ファンタジア文庫

著者   : 夜迎樹

イラスト : スコッティ



今日のインプレダクションはコレ!

学園ファンタジー小説です!


増えるクリーチャー


召喚師学園に入学した少年。

彼には独特な召喚獣がいてーー



主人公は召喚師だけどめちゃキモクリーチャーを召喚獣としていて、という一発芸モノ。
どの文章にも語尾に!が付いていて思考がお祭り騒ぎになっている。
細切れで区切りが付きやすいのは利点かもしれない。
ちょっと読んでいてヒヤヒヤするほど文章力が無く、小説とは感じられなかった。
web小説であればこれで良いのかもしれないけど、編集部はこれを紙で発行する事をちゃんと想像できていたのだろうか心配になる。
ファンタジア文庫、相変わらず迷走してるなあ。

2025年10月5日日曜日

星やどりの声  読みました!!

タイトル : 星やどりの声

賞種   : ―

出版   : 角川書店

著者   : 朝井 リョウ

イラスト : ―



今日のインプレダクションはコレ!

ホームドラマ小説です!



繋ぐ


父の遺した純喫茶で

子供達は食事をして育ち――


大家族のホームドラマ。
特になんてことのない1人1人の生活をバトンを繋いで語っていく穏やかなお話ですね。
何かに区切りをつける時は物悲しい気持ちになりますが、
新たな空へ巣立っていくのだと感じました。
設定が小道具と割り切っているのか少し雑な印象も。

2025年9月7日日曜日

失われた世界  読みました!!

 タイトル : 失われた世界

賞種   : -

出版   : 角川文庫

著者   : コナン・ドイル

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

空想冒険小説です!



余白を想像する楽しさ


知られざる台地へ。

そこには絶滅したはずの恐竜達がいるという――

そこそこ楽しめた。

ホームズの書き方と同様チャレンジャー教授はこんなに変わり者で云々、とキャラ小説の手腕を遺憾なく発揮する。

若干読み口の妨げとなったのは全編に渡る新聞記者による手記然とした文体で、新聞記者はこの様な手記をするのだろうかと疑問に感じ、中盤に於いては愛しの彼女を射止めるためのホラ話が引くに引けなくなったのだろうかと心配になった。

しかし読了してみればそれは杞憂で、実は純粋な空想冒険小説だったのだと気付かされる。

初心に立ち返って小説を楽しむべしと教えられた気がする。


2022年10月9日日曜日

出口のない海  読みました!!

タイトル : 出口のない海

賞種   : -

出版   : 講談社文庫

著者   : 横山 秀夫

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

戦中ドラマ作品です!



その胸中やいかに


学生野球の世界から軍隊へ。

時代の流れに揉まれて――

人間魚雷『回天』の戦中ドラマ。

なかなかの余韻がありました。

搭乗者たちがどんな思いで特攻兵器に乗ったのか。

その心情は多様な想像によって描かれることになります。

本作はカッコよく描かないところに際立つ妙技が見えます。

決死の出撃をしつつも・・・という事態は多くの発見にもなるでしょう。



今日の甘口!


・流れ

  大学野球の生活に戦争の影が忍び寄る。

  太平洋戦争が始まり、

  月日が経つと学生の徴兵免除も遂に取り消されてしまう。

  野球部のメンバーはそれぞれ徴兵されてしまった。

  ピッチャーの青年は訓練に励む中、

  ある日特別な兵器の搭乗員募集を耳にする・・・という流れ

・テイスト

  搭乗員の気の持ちようがメインです。

・キャラ

  【並木 浩二】

  野球部ではピッチャー。

  肘を壊してからは多段変化の魔球を

  完成させようと練習している。

  流れに呑まれてしまいながらも、

  時折優しい自分に戻る。

・戦争は単純でない

  戦争にまつわる情報は勇ましさ・哀しさの他にも

  色々あることが分かります。

  特攻は必ず敵に激突して死ぬわけではありません。

  完成度の低い兵器なので訓練中に死んだ人も大勢いる。

  いざ発射という時に故障で出撃できず帰投した人もいる。

  そういうことは知っておいた方が良いですね。



今日の辛口!


・全体

  悪くない終わり方だったと思います。

  ただ、途中駆け足だった部分に対する手当が

  別のアプローチにした方が良かったんじゃないかなあという気も。

  ともあれ学生辺りの年代の子にはぜひ読んでほしいですね。



以上、

流れに呑まれる、な?!

戦中ドラマ作品でした!


2022年10月2日日曜日

少年と犬  読みました!!

タイトル : 少年と犬

賞種   : 第163回直木賞

出版   : 文藝春秋

著者   : 馳 星周

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

日常系作品です!



奇跡の犬


誰かのもとへ突然現れる犬。

一時期人間の世話になるがまた放浪しーー

短編を編んで繋げた日常系。

なかなか良かったけどちょっと複雑。

死の影が濃い。

それは扱った事象が大震災だからか。

気軽に手を出してはいけない事象を書いたその心境は

どんなものだったろう。



今日の甘口!


・流れ

  ヤバイ仕事の手伝いをしている男は野良犬を見つけ、

  飼うことにする。

  この犬は車に乗せているといつも一定の方角を気にしていることに気付く。

  そちらの方に飼い主がいるのだろうか・・・という流れ。

・テイスト

  誰かが野良犬を見つけて飼う、

  しかし飼った人が事故等で死んでしまい、

  犬はまた別の場所で新たな人に飼われるというもの。

・キャラ

  【多聞】

  シェパードと和犬のミックス犬。

  賢く躾が行き届いている。

  【和正】

  ヤバイ仕事の手伝いをしている男。

  震災・親の認知症と生活苦でお金が欲しい。

  仙台のコンビニで多聞を見つけて飼うことにする。

  【ミゲル】

  窃盗団の男。

  事件のどさくさで和正から多聞を奪って新潟まで連れていく。

  【大貴】

  トレイルランニングに夢中の男。

  富山で多聞を見つけて飼うことに。



今日の辛口!


・全体

  犬と人との関係性は見応えがあった。

  犬がいることで一時やすらぎを感じるが、

  飼い主は次々死んでいく。

  それは一見するとご都合に見えない巧みさがあるんだけれども

  ラストまで行くと犬にまつわる設定が

  ちょっと都合よく組まれていることに気付くのが惜しいところ。



以上、

旅する犬、な?!

日常系作品でした!