2026年10月25日日曜日

ぼんくら(上)新装版  読みました!!

タイトル : ぼんくら(上)新装版

賞種   : -

出版   : 講談社文庫

著者   : 宮部 みゆき

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

時代小説です!


町の一角


怠惰な同心・平四郎が廻る時訪れるのは鉄瓶長屋。

そこに暮らすのは煮売り屋のお徳を始めとした人達でーー


だいぶ楽しめた。
時代物を本気で感じられるわけではないけれど、
読みやすいもので、という人にはお勧めできる。
のんびりした空気と人々の語らいが心地良い。
編み方も巧く、一つの話に余計な人数を登場させず、
話を重ねるにつれ少しずつ他の住人を出してくる。
割と博打うちの話は気に入った。
ここで登場する権吉みたいな人がちゃんと報いを受けるのが良い。

2026年10月18日日曜日

聖女と暴食  読みました!!

タイトル : 聖女と暴食

賞種   : -

出版   : 電撃文庫

著者   : 三雲 岳斗

イラスト : karory



今日のインプレダクションはコレ!

ファンタジー小説です!


四つ星を求めて


知名度が低い学食部。

そこでは如何物料理に心血を注ぐ者達がいてーー




食を求める故にゲテモノ料理も辞さない集団というのが特徴。
学園という設定が若干浮いてしまっているものの、
商売をして生活している風景が逆に安定感を生み出している。
お話の中で出てくる「重要なのはそこじゃありません」に笑ってしまった。
ゲテモノ料理は充分注意して食べようね。

2026年10月3日土曜日

街とその不確かな壁(下)  読みました!!

タイトル : 街とその不確かな壁(下)

賞種   : -

出版   : 新潮文庫

著者   : 村上春樹

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

空想小説です!


どちらにも私がいる


図書館の館長をする世界と

夢読みをする世界ーー




スポットを限定して深く書く事に注力している。
そしていつの間にかイエローサブマリンの少年を観察していた主人公が自分も同じような反復をしている事に気付く、というような気付くまでの流れをじっくり書いている印象。
どちらが影でどちらが本体なのか、それはだんだん滲んでいく。
イエローサブマリンの少年は夢読みの世界に行くと雄弁になったなあ。

2026年9月27日日曜日

街とその不確かな壁(上)  読みました!!

タイトル : 街とその不確かな壁(上)

賞種   : -

出版   : 新潮文庫

著者   : 村上春樹

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

空想小説です!


影とは


きみが話してくれた想像の街。

そこに本当のきみがいるというがーー




自分が誰かの影法師に過ぎないのではないか、そんな発想もある種の青春であるように思える。
ぼくときみが共有する『壁に囲まれた街』の光景。
想像でこしらえたその街も、東京や福島といった現実の街も、どちらも現実と曖昧になっていく。
子易さん、添田さんが出てきてからは登場人物がもう少し輪郭を持ってくるが、
それまではぼくときみ、みたいに抽象的な輪郭のぼやけた記述が続く。

2026年9月14日月曜日

アリアドネの声  読みました!!

タイトル : アリアドネの声

賞種   : -

出版   : 幻冬舎文庫

著者   : 井上 真偽

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

災害小説です!


その時彼女は何をしていたか


地下都市で起こった地震。

地下五階に取り残された要救助者をシェルターまで誘導できるかーー




災害救助に使うドローンに焦点を当てたもの。
地下都市で災害が起こり、取り残された人を発見し、しかもシェルターまで誘導しなければならない。
でも要救助者は視聴覚どちらも障害を持つため誘導は困難が付き纏う。
状況設定は書きたい事がそれなので仕方無いとはいえだいぶ力技で設定したなあという印象。
この仕方無さを感じさせない一ひねりがあるともっと良かったかも。
ドローンもこういう災害救助でこそ役立って欲しいと思う今日この頃。

2026年5月21日木曜日

記憶の鍵盤  読みました!!

タイトル : 記憶の鍵盤

賞種   : -

出版   : 新潮文庫nex

著者   : 緒乃ワサビ

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

青春小説です!


ピアノの音


学園祭に来た女子に導かれ、

長野でひと夏を過ごす事になりーー




突然学園祭に表れた女子・天音はあなたの未来を知っている、
あなたの過去と向き合う手伝いをするという風に主人公男子・歩人を振り回す。
商業作品に多い、自主性が無く誰かに連れ出してもらわないと何もできない主人公。
未来の記憶があるので結果はこうなると提示されるんだけど、
そのためにはこういう通過点が必要で次はこういう通過点が必要で、
とこなしていくのがあまりこれといった特徴を見出せなかった。
ただラストに繋がるのは登場人物達の作戦が拙かったから、
とポジティヴに捉えれば良いかもしれない。

2026年4月28日火曜日

アルツ村 閉ざされた楽園  読みました!!

タイトル : アルツ村 閉ざされた楽園

賞種   : -

出版   : 講談社文庫

著者   : 南 杏子

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

サスペンス小説です!


非公開地の村


家を飛び出し辿り着いた奇妙な村。

そこで暮らす人々は接してみると何かがーー




ゲーム的な半面と解説書的な半面を合わせた記述と言える。
どこまでがあれでどこからがそれなのか、
というサスペンスを味わうもの。
認知症を通じて揺さぶりを問い掛けるものに仕上がっている。
最初の畳み掛けるヤバ事象は積み過ぎて逆に冷静になってしまった。

2026年4月3日金曜日

豚のレバーは加熱しろ  読みました!!

タイトル : 豚のレバーは加熱しろ

賞種   : 第26回電撃小説大賞・金賞

出版   : 電撃文庫

著者   : 逆井 卓馬

イラスト : 遠坂 あさぎ



今日のインプレダクションはコレ!

異世界モノ小説です!


豚野郎


異世界に来たら豚になっていた。

そんな元・人間の男性は豚小屋で女の子に拾われるーー



萌え豚という言葉があるけど本当に豚になる、
という異世界モノ。
軽いノリで進んでいく割には社会の構造を唐突に剥き出しにしてみたり、
とアンバランスな感じだった。
願望を叶える的なお話を同系統の仲間と共有するみたいな、
そういう感じの書き方なのかな。

2026年3月18日水曜日

切手がとっても高い郵便局で  読みました!!

タイトル : 切手がとっても高い郵便局で

賞種   : -

出版   : メディアワークス文庫

著者   : 村瀬 健

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

現代ファンタジー小説です!


払っていただきます


天国へ手紙を送れると謳う郵便局。

そこに辿り着く人達はーー



牧村という女性は亡くなった推しに手紙を送れると言われ、
一度に200万円の手紙をのめり込んで何度も送っていく。
その様は真面目に書いているけどギャグ。
後のお話もギャグとほろりが編まれたお話。
よく映画の宣伝文句で『笑って泣いて』とフレーズを聞くが、
本作にはそれが詰まっている。
組み方自体は素材を集める手法なのかなと思うけど、
筆致が一本筋が通っているので、読める。
自らを偽らない、ということですという台詞は単に素材なのか作者のどこかに在る言葉だったのかどっちだろうと興味が湧いた。

2026年2月25日水曜日

忘却の楽園Ⅰ アルセノン覚醒  読みました!!

タイトル : 忘却の楽園Ⅰ アルセノン覚醒

賞種   : 第27回電撃小説大賞・銀賞

出版   : 電撃文庫

著者   : 土屋 瀧

イラスト : きのこ姫



今日のインプレダクションはコレ!

ファンタジー小説です!


触れられるのか


訓練を終えた若者達はそれぞれの

配属先に割り振られるが――



策謀の中で生きるファンタジー。
始まりは戦記風だけど異なる。
特別な少女との恋愛モノとして見た方がしっくりくるかも。
波のようでいて波ではなく、
凪のようでいて凪ではない。
規則的に湧き出す泡のような感じだった。
世界設定に意欲的な部分があったのは良かった。

2026年2月11日水曜日

ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います  読みました!!

タイトル : ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います

賞種   : 第27回電撃小説大賞・金賞

出版   : 電撃文庫

著者   : 香坂 マト

イラスト : がおう



今日のインプレダクションはコレ!

ファンタジー小説です!


結局引きずられ


ギルドの受付嬢で平和に仕事して

定時で帰りたい女の子だけど――


ギルドの受付嬢で平和に仕事して定時で帰りたい女の子だけど、
というドタバタのファンタジー。
まあ、うんという感じでした。
いわば一発芸的な題名なので、
まあそうだろうという感じでした。
題名に全て書いてあります、
というタイプなのである意味安心して読めるかも?

2026年2月2日月曜日

更級忍法帖  読みました!!

タイトル : 更級忍法帖

賞種   : -

出版   : 早川書房

著者   : 荒山 徹

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

復讐譚小説です!


物語に生きる


突如取り潰しとなった高須藩。

元凶となった魚津藩の前田利堅に仇討ちせんと女達が決意しーー


物語を読み漁る女性同士の集いと語らいが冒頭にあり、
その後の藩取り潰しで転落してゆく苦さを殊更に強い衝撃にしている。
内紛そして力を失った家臣達を標的にした盗賊の跋扈・・・そんな混乱期に女性が受ける苛烈な被害。
女性達47人が仇討ちを決意し、
藩取り潰しの元凶である前田利堅を討つために修行に励む。
筆致に粗さが残るのが惜しいとは思うものの先が気になりページを捲らせる力はあった。
徳永氏の改易自体はあったようでそこから想像を膨らませて人物やストーリーを考えたものと思われる。

2026年1月23日金曜日

女装の麗人は、かく生きたり  読みました!!

タイトル : 女装の麗人は、かく生きたり

賞種   : 第29回スニーカー大賞 銀賞

出版   : 角川スニーカー文庫

著者   : ショーン 田中

イラスト : 夕子



今日のインプレダクションはコレ!

ファンタジー小説です!


幸福はどこにあるか分からない


精霊達の開く闘技に臨む女装した人間男子。

彼には目標がありーー




男女の価値観が逆転しているとか説明無しである程度進んでいくが、
ラノベなので雰囲気でそういう世界なのかなと予想は付く。
女装や虐げられる身分、
種族による性格など、
全てに於いて捉え方は属性であり、
属性が散りばめられたデザインと言って良い。
集団の暮らす社会を国と書いているが、
コミュニティの描写は完全に村だなーと思う。
ちょっと制作過程で道を綺麗にし過ぎたのか単調な一本道然とした作りになってしまったように思われるのが惜しい。

2025年12月28日日曜日

妖精の物理学 ―PHysics PHenomenon PHantom―  読みました!!

タイトル : 妖精の物理学 ―PHysics PHenomenon PHantom―

賞種   : 第31回電撃小説大賞・大賞

出版   : 電撃文庫

著者   : 電磁幽体

イラスト : necomi



今日のインプレダクションはコレ!

ファンタジー小説です!


自分のできること


妖精の言葉を世界でただ一人理解できる少年。

助けを求める妖精の声を聞いて黙っていられなくなった彼はーー



きちんと厚みのあるライトノベル。
物理的にもぶ厚い、これよく刊行できたな・・・と思ったらそれは巻末で腑に落ちた。
解説文の「羨ましい」に涙する職業作家の人は多いと思う。
妖精・ゆきとの最初の出会いが良かった。
関わらないで下さいと言って心を閉ざすゆきに踏み込んで語り掛けようとする主人公の図が青春の一ページな感じがして爽やか。
満足感ある一冊。

2025年12月16日火曜日

ヴァルハラの晩ご飯 ~イノシシとドラゴンの串料理(ブロシェット)~  読みました!!

タイトル : ヴァルハラの晩ご飯 ~イノシシとドラゴンの串料理(ブロシェット)~

賞種   : 第22回電撃小説大賞・金賞

出版   : 電撃文庫

著者   : 三鏡一敏

イラスト : ファルまろ



今日のインプレダクションはコレ!

エロコメ小説です!


食材としてだけじゃなく


天上の世界で暮らすイノシシが

美しい女性たちに囲まれ――



イノシシ主人公のエロコメ。
食材が料理場に勤めるという微妙な設定が全体のライトさを出している。
とてもストレートな表現で変に捻くれていないところが良い。
ギャグとしてさらっと読むことができた。

2025年11月12日水曜日

このクリニックはつぶれます!─医療コンサル高柴一香の診断─  読みました!!

タイトル : このクリニックはつぶれます!─医療コンサル高柴一香の診断─

賞種   : -

出版   : 新潮文庫nex

著者   : 午鳥志季

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

ホームドラマ小説です!


医者と経営者


祖父から受け継いだクリニックは赤字続き。

藁にも縋る思いでコンサルに助けを求めたらーー



敏腕だけど癖の強い仕事仲間と出会う、
みたいなお仕事モノとして始まるけどホームドラマと表した方が良いかな。
仕掛けが分かり易く、
ちょっと良い話にして区切りを付けるように読後の爽やかさも意識されている。
医療コンサルとしてやってきた女性・一香は主人公・慎に対し患者は金儲けの道具でしかないと言う等して道徳vs金の揺さぶりをかける、
これはよくある道化役の設定。
その他、どうも役割から設定を考えていくパズル型の組み方をしているように見受けられるが、
それらを纏めようとしてちょっと苦しくなってしまったのかなという感触。

2025年11月1日土曜日

リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動―  読みました!!

タイトル : リベリオ・マキナ ―《白檀式》水無月の再起動―

賞種   : 第25回電撃小説大賞・銀賞

出版   : 電撃文庫

著者   : ミサキナギ

イラスト : れい亜



今日のインプレダクションはコレ!

ファンタジー小説です!


こころ


戦闘用として生み出された少年型絡繰り人形は

戦闘の無い時代を過ごすことになり――



絡繰り人形を中心にしたファンタジー。
なかなか良かった。
戦闘用なのに戦闘が無いので日常生活を、
という王道から外した道を行く系統の組み立て方。
マスターの命令が絶対のマシンだけど様々な事に思い悩んだり、
経験を積んで成長していく姿を描いたのが秀逸。
粗い部分はあれどその分瑞々しさが感じられた。
正統派のライトノベルであり、
本作を受賞作に選んだ審査員に称賛を贈りたい。
そこはやはり電撃といったところ。
レーベル側は「初めてライトノベルを読む人」に向けた作品を刊行し続ける義務がある。

2025年10月23日木曜日

なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ  読みました!!

タイトル : なぜ逃げるんだい? 僕の召喚獣は可愛いよ

賞種   : 第37回ファンタジア大賞 大賞

出版   : 富士見ファンタジア文庫

著者   : 夜迎樹

イラスト : スコッティ



今日のインプレダクションはコレ!

学園ファンタジー小説です!


増えるクリーチャー


召喚師学園に入学した少年。

彼には独特な召喚獣がいてーー



主人公は召喚師だけどめちゃキモクリーチャーを召喚獣としていて、という一発芸モノ。
どの文章にも語尾に!が付いていて思考がお祭り騒ぎになっている。
細切れで区切りが付きやすいのは利点かもしれない。
ちょっと読んでいてヒヤヒヤするほど文章力が無く、小説とは感じられなかった。
web小説であればこれで良いのかもしれないけど、編集部はこれを紙で発行する事をちゃんと想像できていたのだろうか心配になる。
ファンタジア文庫、相変わらず迷走してるなあ。

2025年10月5日日曜日

星やどりの声  読みました!!

タイトル : 星やどりの声

賞種   : ―

出版   : 角川書店

著者   : 朝井 リョウ

イラスト : ―



今日のインプレダクションはコレ!

ホームドラマ小説です!



繋ぐ


父の遺した純喫茶で

子供達は食事をして育ち――


大家族のホームドラマ。
特になんてことのない1人1人の生活をバトンを繋いで語っていく穏やかなお話ですね。
何かに区切りをつける時は物悲しい気持ちになりますが、
新たな空へ巣立っていくのだと感じました。
設定が小道具と割り切っているのか少し雑な印象も。

2025年9月7日日曜日

失われた世界  読みました!!

 タイトル : 失われた世界

賞種   : -

出版   : 角川文庫

著者   : コナン・ドイル

イラスト : -



今日のインプレダクションはコレ!

空想冒険小説です!



余白を想像する楽しさ


知られざる台地へ。

そこには絶滅したはずの恐竜達がいるという――

そこそこ楽しめた。

ホームズの書き方と同様チャレンジャー教授はこんなに変わり者で云々、とキャラ小説の手腕を遺憾なく発揮する。

若干読み口の妨げとなったのは全編に渡る新聞記者による手記然とした文体で、新聞記者はこの様な手記をするのだろうかと疑問に感じ、中盤に於いては愛しの彼女を射止めるためのホラ話が引くに引けなくなったのだろうかと心配になった。

しかし読了してみればそれは杞憂で、実は純粋な空想冒険小説だったのだと気付かされる。

初心に立ち返って小説を楽しむべしと教えられた気がする。