賞種 : -
出版 : ハヤカワ文庫JA
著者 : 伊藤 計劃
イラスト : -
今日のインプレダクションはコレ!
SF作品です!
到達
医療と平和を推し進めた世界で
突如の大量自殺事件が発生し――
未来の形を示唆するSF。
やはり大満足!
難しさもさることながら、
物語であるが故の空想をフルに活かしている
のが良いですね。
未来の形は無数にあれど、
こんな未来もあるかもしれない・・・
不可侵領域へのハッキングを試みた
渾身のIF。
今日の甘口!
・流れ
超高度医療と強力な公共心が支配する世界。
殆どの病気は制圧され、
奪い合い傷つけ合いが無くなり、
優しさと慈愛が世界を覆っている。
そんな世界を憎悪する少女がいた。
優しさに息苦しさを感じ、
自分の身体は公共のリソースではないと対抗心を持ち、
世界から要請される生き方の真逆を考える少女。
そんな強烈な少女と仲の良かった別の少女は、
それに近い感覚を持ちながら破滅的になりきれず、
世界からちょっと外れつつそれでも輪の中にいる中途半端な状態を続けて
大人になった。
中途半端を謳歌できる職業に就き不摂生を楽しんでいたが、
不摂生が上司にバレて謹慎、
自国に帰ることになるが・・・という流れ
・テイスト
意志・意識・魂・身体・・・
そういったキーワードから
未来に対し可能性を探っていきます。
SFもやはりふんだん。
・キャラ
【霧慧 トァン】
世界を息苦しく感じるも中途半端だった少女。
大人になり紛争仲裁の職業に就いている。
【御冷 ミァハ】
世界を憎悪していた少女。
博識で本を愛する。
既に帰らぬ人となっている。
・過去やり残したこと
『虐殺器官』では最初に送った賞で落とされた際、
虐殺の言語についてもっと触れてほしかったと
審査員にコメントされたそうです。
本作ではその一端を見せることができたので、
過去やり残したことを回収した感はありますね。
今日の辛口!
・もしかして?!
読後は色々想像させられました。
行きついた先は虫も哺乳類の特定種族も
既に到達している地点な気がするのですが、
何か違うものなのかな~。
女王はいないけれどもさ。
ある意味ちらっと出てきたあの作品にちなんで
王蟲の社会性ってこと?
・進化
報酬系の説明で『目の前の価値対象を過大に評価する』ところを読み込んでみると、
「それだと農業が成り立たない」ことに気付きました。
目の前の報酬に飛びつく傾向は、
狩猟採集時代の名残りなのかも?
以上、
どんな未来が来る、な?!
SF作品でした!
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